第27回&第28回ジャーナルクラブ報告

Starr LR, Hershenberg R, Li YI, Shaw ZA. When Feelings Lack Precision: Low Positive and Negative Emotion Differentiation and Depressive Symptoms in Daily Life. Clinical Psychological Science. 2017;5(4):613-631. doi:10.1177/2167702617694657

第27回(11月20日),第28回(12月25日)の2回をまたいで上記論文をクリティーク致しました.

感情識別能力と抑うつとの関係です.

落ち込んだ時,気分が上がらない時,もしくは楽しい時やうれしい時,その感情を詳しく見て分析していった方がいいのでしょうか?

研究自体は突っ込みどころ(クリティークポイント)は沢山ありましたが,その限界を踏まえた上で結果を読み解くと,どうやらポジティブな感情は分析しない方が余韻を楽しめてよい感情状態を保て,ネガティブな感情は反芻したり更なるネガティブ感情を呼び起こさないためにも分析した方がよいのではないか,と結論づけました.

この結果を受けて,さっそく楽しい気持ちの時は「たのし~」とそのまま楽しみ,もやっとしたときはなんでもやっとしたのか,原因を突き詰め実際にはそれがどういう感情なのかラベリングするためにその感情体験について5分間書き続けるということをやり始めました.

例えば,上司から理不尽な要求を突き付けられたとします.

その時のもやっとした嫌な感情は,悲しみなのか,無力感なのか,怒りなのか,またどうしてそのように感じたのか詳しく探求していき,同時に頭に浮かんできたアイデアを書きなぐっていきます.

自分が何を考え感じているのかを可視化すると,それ以上の嫌なメモリーや感情体験を呼び起こしたり反芻しなくて済むのです.

ネガティブな感情ほど識別(正体を知る)した方が対応しやすくなるのかもしれません.

逆にポジティブな感情は派生も反芻もウェルカムなので分析せずそのままを味わうとよいのかもしれません.