読解力向上×原爆症×BL消費動機研究を読み解く

24回目月例ジャーナルクラブを開催いたしました.

ジャーナルクラブは万人にとって面白い訳ではないと思います.一握りの人が楽しめる娯楽だなと思います.

ジャーナルクラブで感じる興奮や達成感って,謎解きゲームの感じに似てるなぁと思います.紐解いていって,真実を見つけ,腑に落ちた時の感じです.

今回新規オーディエンスの方たちは,面白い,自分で論文を読みたいといっていただき嬉しかったです.

信頼性の高い情報はまた聞きではなく,自分で取りに行かないと手に入らないものなので,こういう方々が社会に増えると情報・科学リテラシーが高まると思います.

さて,今回の研究紹介コーナーはこちら

1.最新論文解説

以下の論文2点を解説しました.検索すればだれでも読めますので関心がある方は読んでみて下さい.

Ozasa K, Grant EJ, Kodama K. Japanese Legacy Cohorts: The Life Span Study Atomic Bomb Survivor Cohort and Survivors’ Offspring. Journal of Epidemiology. 2018;28(4):162-9.

被爆者とその子供たちのコホート研究総説

Zsila A, Pagliassotti D, Urban R, Orosz G, Kiraly O, Demetrovics Z. Loving the love of boys: Motives for consuming yaoi media. PLoS One. 2018;13(6):e0198895. PubMed PMID: 29902228. Pubmed Central PMCID: 6002055.

ボーイズラブ消費動機に関する相関研究とツール開発

原爆コホート研究は,原爆症認定が話題になっていますが,申請が却下される要件ってなんだろう,という疑問から読み始めました.

被爆者,胎内被ばく者,被爆2世はどんな病気になり,それは被ばくしていない人たちと違うのか,ということが焦点になります.

こういった研究が,原爆症認定の要件につながっているので,関心のある方はぜひ,読まれてみて下さい.

被爆2世の方は,いまのところ,一般の人たちとかわらない,という結論なのですが,この人たちが高齢になれば結果は変わる可能性があります.ひきつづき,追跡調査をする必要があります.

次はBL消費動機に関する研究です.

ハンガリーでもBLは人気のようで,なぜBLを読む,見る,創作するのかを量的に解析した研究です.質的研究はあるのですが,珍しいです.

この研究はポルノ消費に関する大きな研究の一部であり,参加者のうち,1年以内にBLを見た人たちが対象となっています.

このメイン研究に引っ張られているため,参加者の半分は男性であり,実際にBLを消費する母集団を反映しているとはいえない,ということを前提に読み解いていきました.

当然ながら,性別,性志向によってBL消費動機は異なる,という結果です(笑)

消費者のニーズにマッチするために,どんなものを提供すればよいか,を示唆する面白い研究でした.

また,ジャーナルクラブで聞いたことない専門用語?が飛び交い面白かったです.やおいって何十回いったかなー(笑)

こういう変わり種の論文をまた見つけて読みたいと思います.

2.論文抄読(クリティーク)

Dodick D, Starling AJ, Wethe J, Pang Y, Messner LV, Smith C, et al. The Effect of In-School Saccadic Training on Reading Fluency and Comprehension in First and Second Grade Students. Journal of child neurology. 2017 Jan;32(1):104-11. PubMed PMID: 28257277. Epub 2017/03/04. eng.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28257277/

今回のクリティークは読解力向上の無作為化比較試験でした.
この介入プログラムは介入自体が面白かったです.

目を素早く動かして,順番に数字を読んでいくだけなのですが,これが,読みの流暢性と読解力向上に効果があるかという研究でした.詳しくは上記論文をお読みください.

効果があるし面白いし,簡易性があるので,学校,特に読解力に差がつく前の小学校低学年でぜひ取り入れてほしいです.

なんたって,最も効果を見せたのは,学習障害がありそうな子たちでした.

利益相反がバリバリありそうなのと,研究に卓越した著者ではなさそうなので,解釈には注意を要しますが,ほかの研究もこの結果は支持できるものと考えます.

訓練は簡単で,このようなシートに書かれた数字を左から右素早くに音読していくだけです.段階があり,だんだんハードモードになります.

読解力向上訓練

詳しくは論文を参照してください.

次回のジャーナルクラブは9月25日,オンラインまたはオフライン(ツナグバサンカク)参加が可能です.

参加希望の方は下記をご覧いただき,申込をお願い致します.

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【ジャーナルクラブについて】
Ai国際医療研究所では,月に1回英語の学術論文を持ち回りで読む抄読会,ジャーナルクラブを行っています.
参加者のデモグラは様々,それぞれが興味をもった生活や仕事に役立つ,信頼性の高い論文(RCT、系統的レビュー等)を持ち込み,クリティーク・批判的吟味・議論をしております.
複数でディスカッションすることで,わからないところを聞きあったり,知識を補完したりでき,一人で読むよりずっと理解が深まります.
研究論文の向こうにあるドラマを想像したりするのも楽しいです.
ジャーナルクラブは以下のような方におすすめです.


・扱う研究内容に興味がある方
・英語論文に慣れたい方
・学術論文の読み方,クリティークを勉強したい方
・大学院進学を予定されている方
・ジャーナルクラブがない研究室に所属している方
・仕事や生活で根拠を必要とする方
・信頼性の高い情報の取得の仕方を学びたい方
・医療関係者
・メディア関係者
・講師
・美容健康関連の方
・本会に関心がある方

【参加方法】


下記アンケートを記載、入金確認後にZoomアドレスと詳細をお送りします.
https://forms.gle/tHsHY3PMpGZcicbq8
参加者は持ち回りで英語論文を読みます.
担当以外も各自当該論文を読んで理解し、クリティーク、討議に備えて下さい.
*参加しない、聞くだけも可能です。
オーディエンスの方は、Zoomで名前、ビデオオフでも構いません。
学術論文の読み方講座を受講し基礎的な知識を身に着けることをお勧めしています.講座についてはこちらをごらんください。
https://ai-medical-ri.com/academicpaper/


【料金】


3000円
アンケートを頂いた方に支払い方法をお知らせします。
学術論文の読み方講座を受講された方は半額クーポンをお渡ししています。