4月30日子供の遊び場の変遷研究

本日は子供の遊び場の変遷についての論文でした

今日の前説「最新論文解説」はこちらでした。

Anderson, J. L., May, H. T., Knight, S., Bair, T. L., Muhlestein, J. B., Knowlton, K. U., & Horne, B. D. (2021). Association of Sociodemographic Factors and Blood Group Type With Risk of COVID-19 in a US Population. JAMA Netw Open, 4(4), e217429. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.7429

アメリカのCOVID-19リスクー社会人口統計学的因子と血液型の相関研究です。

これまで、血液型とCOVID-19感染や重症化は関係があるというものとないというもの、色々な研究報告がありましたが、2021年4月に出た本研究では大規模前向きケースコントロール研究で血液型は関係ないだろうと結論づけられておりました。

107,796サンプルにおいて、感染有無、入院有無、ICU入室有無において、血液型によって多いとか少ないとかということがなかった、ということです。

中国やイタリア、スペインの研究でA型は感染しやすい、重症化しやすいとかいう報告がありましたが、サンプルサイズや後方視的研究なので、今回の研究の方がより信頼性が高いように見えます。

ただし、地理的なもの、人種など遺伝学的な要素(血液型分布は地域や民族によって異なる)など様々な考慮すべきこともあるので、絶対ではありません。

研究は確からしい結果を求めてバイアスが入らないように、きめ細かい計画のもと、実施しますが、「絶対」はありません。

沢山のお金とエネルギーと高い能力をつぎ込んで行われた実験や調査でも、「絶対」はないので、市販の、街中にあふれるものの「効果」とか「効能」というものの実態がどんなものか、ご想像していただけたらと思います・・・。

次回の最新論文解説もCOVID-19に関連したものを選んで行いたいと思います。

次に今日の本題はこちらです。

A Study on Changes to the Form of Children’s Playgrounds in Japan by Analyzing the JILA Selected Works of Landscape Architecture.

Qing Qin , Kazuhiko W. Nakamura , Kiyotatsu Yamamoto and Akio Shimomura. Sustainability (2019)

全文はこちらにあります。

https://www.researchgate.net/publication/332338813_A_Study_on_Changes_to_the_Form_of_Children’s_Playgrounds_in_Japan_by_Analyzing_the_JILA_Selected_Works_of_Landscape_Architecture

論文を読むときに、なぜその論文を読もうと思ったか、なぜその論文を選んだのかを知ることは、その人の目的が達成できるようサポートするために必要なことです。

興味関心を満たすため、研究課題を達成するため、バックグラウンドは様々でしょうが、どの論文を読んでも無駄にはならないとはいっても、より為になる、役に立つ論文の読み方をしてほしいと思っています。

今日の担当の方は、「長崎を魅力ある街にするためには何が必要か」ということを知り、行政に提案したいという熱い思いを持っておられます。

わたしたち、Ai国際医療研究所やNagasaki Wellness、Navigate Nagasakiと通じるところがあります・・・

長崎はいいところ、という評判の傍ら、社会的人口流出No1です。

その大半は生産人口です。

大学生たちは、卒業すると県外に就職します。

若い世代を定着させたい、という思いは同じだと思います。

提示された論文は、「遊び場の変遷」をとある造園雑誌の内容から質的量的に読み解くものでした。

「誰にとって魅力的な遊び場」なのか、という点をまずお尋ねしました。

保護者にとって魅力的な場所、というのは、保護者年代の方たちをひきつけたいので、そうなんだろう、と思います。

しかしながら、論文は公園デザイナーは子供の目線を反映して公園を作っていない、と結論づけているので、この著者にとっての魅力的な遊び場のターゲットは子供だったんだな、とわかりました。

この結論もせっかくの統計解析結果を反映していないですし、解析の対象が1造園関係雑誌のデータなので、かなり限界がありますが、先行文献の検討はとても丁寧でよかったです。

子供の遊び場や、造園についての研究は、医学研究ほどきちんとした研究方法が確立していないのかもしれません。

研究結果と結論がつながっていなくて、また、日本全体の子供の遊び場を反映した結果でもないので、今後の研究で頑張ってほしいと思います!

研究目的に沿って、丁寧にデザインされ、知りたい結果がでた一貫性のある研究は美しく、長く使われ引用されます。

そのフィールドで長く丁寧に研究してきた研究者たちの研究は、どんな本よりも読む価値があると私は思っているので、ぜひ、皆さんも学術論文、チャレンジしてみてください!

次回のジャーナルクラブ

次回読む論文は決まり次第こちらでご報告します。

日時:5月29日(土)13時~

場所:出島交流会館予定(場合によってはZOOM)

参加・見学ご希望の方はこちらをご参照ください。

申込フォームはこちらです。

https://forms.gle/5EioHs7zcNEkA6MV9