ハゲタカジャーナルによる影響:科学汚染

「ジェーンさんは,乳がんで標準治療を終えた後,代替医療(現代医学に代わる治療法 https://shikoku-cc.hosp.go.jp/cam/camwhat/index.html)に関心を持ちました.代替医療担当者は、ビタミン注射の文献を紹介し,彼女と担当者は根拠のある希望を見出しました.しかしながら,ジェーンがその論文を義理の息子(このNatureのコメント著者の一人)に見せたところ,彼はその論文がハゲタカジャーナルから来たものであることに気づきました.」

https://www.nature.com/articles/d41586-019-03759-y

ハゲタカジャーナル出版社(Predatory publishers)という言葉は2010年に生まれ,その後数を増やしています.

ハゲタカジャーナルの被害者は,世間知らずの読者だけではありません.多くの研究者が騙され投稿しています.

研究者は研究費からハゲタカジャーナルに掲載費を支払っています.この研究費の多くは,科研費など私たちの税金から支払われるものです.

ハゲタカジャーナルによる科学汚染は深刻です.日本ではどの程度汚染の影響があるのでしょうか?

毎日新聞の調査が参考になります.

Over 5,000 Japanese articles published in ‘predatory’ journals
September 3, 2018 (Mainichi Japan)

この記事によると,ハゲタカジャーナルの犠牲になった大学は,以下のようなランキングになっています.

順位大学名件数
1位九州大学147
2位東京大学132
3位大阪大学107
4位新潟大学102
5位名古屋大学99
6位日本大学87
7位北海道大学74
8位広島大学73
9位京都大学66

旧帝大などトップユニバーシティが上位件数を占めるのは致し方ありません.投稿する件数が多いからです.

パーセンテージでいけば,圏外の大学が上位にあがると思います.

実際地方の大学で「英語雑誌で日本語から翻訳もしてくれてこのお値段!」と喜んで掲載してもらっていた先生がおられました.

国際誌に掲載しないと業績として認められません.査読はなくお金を払えばすぐに掲載してくれる,しかも雑誌名はちゃんとして見えるハゲタカは一部の先生方には魅力でしょう.

ハゲタカジャーナル増加には,研究者の無知や倫理観の欠如が貢献していることは間違いないと思います.