リンパ浮腫の皮膚の状態について

リンパ浮腫は繰り返す蜂窩織炎や線維化など、皮膚に大きな変化をもたらします。

専門家によっては、リンパ浮腫は皮膚の病変だという方もおられます。

皮膚の状態をよく保ち観察することは、リンパ浮腫の合併症を防ぐために重要です。

こちらは、昨年発表されたリンパ浮腫の皮膚状態についての研究です。

Yu, Z., Liu, N., Wang, L., Chen, J., Han, L., & Sun, D. (2020). Assessment of Skin Properties in Chronic Lymphedema: Measurement of Skin Stiffness, Percentage Water Content, and Transepidermal Water Loss. Lymphat Res Biol, 18(3), 212-218. https://doi.org/10.1089/lrb.2018.0066
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/lrb.2018.0066?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub++0pubmed&

要旨

背景:リンパ浮腫は慢性、進行性で、軟部組織の高たんぱく性の浮腫です。リンパ浮腫検知に、患側の細胞外液の測定がよく行われています。しかしながら、リンパ浮腫の皮膚変化や早期の組織変化の定量化はあまり行われていません。
方法と結果:91名のリンパ浮腫患者を評価しました。皮膚水分蒸散量(TEWL: transepidermal water loss),皮膚の固さ(SF: skin stiffness)、水分含有量(PWC:percentage water content)をあらかじめ決めていた皮膚の5箇所で評価しました。TEWL、SF、PWCの値は、対照群(健側)と比較してリンパ浮腫皮膚で有意に増加し、患部皮膚の機能と肌理が損なわれていることを示しました。PWC比とSF比はいずれもリンパ浮腫のステージと強い相関関係がありました。組織液を評価する機器と高い相関が認められました。
結論: 皮膚パラメータ評価は、慢性リンパ腫皮膚の機能的および構造的変化に関する新たな情報をもたらしました。皮膚特性の変化を定量化することは、慢性リンパ腫の診断と評価を補完する重要な手段となるかもしれません。

皮膚水分蒸散量と皮膚の固さはリンパ浮腫ステージと相関

TEWL(皮膚水分蒸散量)やSF(皮膚の固さ)がリンパ浮腫の状態と関連があることは以前から知られています。

これらの測定に関心がある方は問合せフォームよりご連絡ください。